ステータスがカードで表示される。
ライガ age18 HP 計測不能 体力 計測不能
戦士 MP 0 知力 3
戦士に珍しくオールラウンダー
カナエ age18 HP 1503 体力 5
魔法使い MP 25033 知力 10
魔法使いらしく後方支援を得意とする
「なぁ、カナエ。計測不能ってなんだ?体力とか知力とか……」
つまり、俺はこのカードの見方がわからない。
「うわ、ダサっ。計測不能ってそのままでしょ?少ないってことはないから多すぎて計測できないんでしょ。知力と体力は10段階評価なんだけどなー」
「カナエー、治癒魔法もマスターしてよー。ケガ治してくれよ」
「そうだねー、戦闘すぐ終わるもんね。ってライガ、怪我するの?」
「敵が毒吐くかもだぜ?」
「あぁ、そう考えると必要かも。少ない知力で考えてくれたんだもんねぇ」
と俺のカードを見た。
「カナエはHP低いし体力ないだろ。HPなんて壊滅的だ」
「おっしゃる通り。でも魔法使いにはステータスをアップさせることができるのです。ま、せいぜい2倍だけどね。だから戦闘頑張ってー」
のん気だな。つまり俺はカナエを守りつつ戦うという事か。それもハンデかな?
やっぱ徒歩で進むんだろうなぁ。と俺はてくてく歩いていた。ふと横を見ると、カナエ!浮いてる板に座ってる。しかもお茶飲んでねー?
「カナエ……そうやって歩かないから体力はつかないし、HPは低いんだ。MPの無駄遣いだ。さぁ、歩け!」と俺は歩くように促した。
30分も歩かないうちにカナエの口から「疲れた~」と。なんだよ、マジで弱いな体力など。
そんな時……モンスターが現れた。
「カナエ、こいつらマジでモンスターか?またヒトが化けてたりしない?それによって全力で行くか決まるんだけど?」
ああ、そういう判断でも魔法使い必要だな。殺人は嫌だ。
「純モンスターでーす!」という声を聞いてつい俺は「初めまして」と言ってしまった。
カナエは呆れていたが、次の瞬間しばいたのでOK。
なんだかモンスターを倒すと、道具と金が落ちてる……。
俺は恐る恐る「カナエ、この落ちてるのはもらっていいのか?窃盗罪とか嫌だぞ」と言うと、
「本当に何にも知らないのねー。ドロップアイテム拾ってよし。強いモンスターはいいもの持ってるわよ。それに、モンスターを狩って生活してる人もいるのよ」
「そうなのか……」
うちもそうなのかな?親父ならモンスターに敵はいないだろうし、まさかの実家はセレブ?
「へー、そんな生活の方法あるんだ。俺はただ家で鍛錬してたから世間知らずだな」
「世間知らずって自覚しただけまだマシになったんじゃない?」
馬鹿にされたんだろうか?
俺は次々とモンスターを倒し、落ちている金とアイテムを拾いまくった。
「私、疲れた~。どっかの宿に泊まるくらいお金たまってるでしょ?」
『ほら』とカナエに見せた。カナエは目を見開いた。
「えーと、これは……。小さい街を買えるくらいかな?」
アイテムも要らないから+αの金額を加算して……と考えると恐ろしくなって、俺はカナエにお金の管理を頼んだ。
ひたすらモンスターを倒してただけなんだけどな。時間潰し的な。怪我無いし。
近くの街、‘アキ’の宿屋では2部屋、普通の部屋をとった。俺が「もっとランクの高い部屋でも……」と言うと「倹約が大事なの!」と言われた。
「そんじゃ明日ねー」とカナエは隣の部屋に入りそうになった。
「ちょーっと待て!俺の服の汚れを落としてください」と、うっかり忘れるところだった。
「その魔法苦手だから、結果に文句言わないでよ」
カナエがなにやら唱えると、汚れが落ちた。そして、同時に俺の汚れまで落ちた。
「あ、これなら風呂要らないかな。ラッキー!睡眠時間増えんじゃん!」と俺は単純に喜んだ。
なのに……いきなり頭の中でおふくろの力を借りたのか親父が『何を!風呂に浸かって全身の筋肉をほぐすのも大事なんだ!』と言ってきた。
これは……『親父もおふくろも放任で送り出したフリして、ずっと見てたんじゃねー?』疑惑が!!
次の日、ステータス
ライガ age18 HP 計測不能 体力 計測不能
戦士 MP 0 知力 4↑
戦士に珍しくオールラウンダー
カナエ age18 HP 1504↑ 体力 5
魔法使い MP 25033 知力 10
魔法使いの戦闘としては後方支援、家事のようなことをする
「おっカナエHP上がってんじゃん。やっぱ徒歩にしたからだなぁ」
備考みたいなところも変わってるけど、触れないでおこう。
「ライガだって知力上がって良かったね」うーむ、キゲンが悪いようだなぁ。ここ、朝飯うまいなぁ。俺は2人前食べた。カナエは朝飯あんまり食べないし。
俺のうちは朝飯ガッツリ型だったからなぁ。朝から豚の丸焼きとか……。
さて、今日も出かけますか!
「ライガー、相談するんだけど」何だ?それで機嫌悪かったのか?
「とりあえずこの街で冒険者登録しといて、依頼受けたりしない?」
「そんなシステムあるのか?」
「世間知らずが極まってるわね。依頼選べるし、雑魚を永遠に片づけてても修行にならないでしょ?」
「そうだな。ここらは雑魚が多いのか?修行になんなかったな。金にはなったけど。ところで、この街の住人でもないのに登録できるのか?」
カナエは見ろと言わんばかりに昨日のお金を掲げた。買収するのか……。
「じゃ、行ってみよー!」カナエは楽天的だな。
うーん、この街のギルドとやらはガラが悪いなぁ。
「ステータスカードを見せて下さい」と受付で言われ、俺とカナエはカードとお金を少々(
少々か?)差し出した。
「では、ギルドマスターのところまで案内しますね」と受付嬢は言う。俺は「また、仕掛けてくるかもだから油断するなよ」とカナエに言った。
案の定、イカツイ厳めしい顔した男たちがどこからか湧き出す。
「カナエ、こいつらは人間だよな?人間相手は手加減が難しいんだよなぁ。あ、後方支援などよろしくー」と話ながらも、俺に向かってくる男を山積みにしてしまった。一番下の人は大丈夫かなぁ?重さで苦しいよな?きっと。
「人間だよ。ってもう終わってるじゃん。怪我もないし、よしよし」
「モンスターと違って金になるわけじゃないから、ただなんか運動だな」
「えーと、ギルドマスターはこちらです」と受付嬢は言う。
いたのか?!
なんだか重い扉の向こうには猫がいた。
ギルドマスターは呪いで猫になったらしい。
カナエは「かわいー」と喜んでいたが、猫だぞ?元人間の。
俺は何故呼び出したのか聞いた。登録だけなら受付で済む話だからだ。
「ステータスカードに『計測不能』ってあったから、試して悪かった」
いや、もうすぐ猫じゃらしを使おうとしているカナエがこちら側にいると何も言えない。
「この街はお金要らないよ。カードと一緒に添えられたお金は戻すね」
猫じゃらしで威厳がない。むしろ微笑ましい。
「それなんだけど、なんで登録?」そうだよな。俺は「より強いモンスターに会いたいんです。俺は修行の一環で旅をすることにしたけどここら辺のモンスターは弱くて……。あ、昨日一日でかなり稼ぎました。カナエ」
「ふぇ?あ、全財産?これです」とカナエは、パンパンの革袋をかかげた。
「あの9割以上が昨日1日でここらのモンスターから得たお金です」
あー、ギルドマスター、猫じゃらしから目を離して!違うな。
「カナエ!猫じゃらしやめろよ、話ができないだろ!」
「本当なんだろうなぁ。君、嘘つかなそうだし。うん、A級冒険者にしよう」
「カナエ……A級とかって何なんだよ?」と俺はこそっと言ったが、猫の耳は強かった。「C級・B級・A級・S級ってあってA級の上はS級。上の方が難しい依頼を受けれるんだ」
「ちなみにズバリなぜ俺らがS級じゃないんだ?」
「ライガ……、いきなりA級でも周りから睨まれるよ~」
「二人とも実績が無いんだよ。だから」
なるほどな。確かに実績はないな。
「了解」と俺は言った。
カナエは睨まれると騒いでいたが、俺は今までの生活と何ら変わらないからどうでもいいことだった。
宿屋とギルドを往復するような生活になった。
ギルドでは他の冒険者から睨まれるようだ。慣れって怖いな。A級なのもあるが、2人きりで俺がカナエを連れている事実も気に入らないようだ。
カナエは万人に好かれるように成長していたのか……。こいつは迂闊。
ギルドにある依頼でも俺の力とお金が割にあうような仕事がなくて困る。A級って不便だな。
そんな中、カナエがスナキツネを拾ってきた。「この子は正真正銘動物!ちゃんと見たんだから!」 そうか……それはいいが、飼うのか? うーん、こいつとギルドにいる男が入れ替わる可能性もあるから気をつけろとカナエに言ったものの、「えー、何でー?」という返事。 俺が自分の力を理解してなかったのと同じでカナエはギルドで人気って理解してないな。まあ、替わってるの感じたら、替わってるやつしばくけどな。 ギルドマスターに呼び出された。何事だ?「言いにくいんだが……、そのスナキツネの親な、討伐対象だ」 言いにくいんじゃなかったのか?「しかもA級で金もいいぞ」おぉ、スナキツネは強いのか。カナエが俯いてスナキツネをギュッと抱いている。そうかカナエの事を考えたんだな。「いつか誰かがやらなきゃならないミッションだから、お前らに伝えた」 冒険者として色々あるんだなー。このスナキツネ(子)もそのうち大きくなったら討伐対象になるんだろうな。カナエには酷だな。 さて、「カナエ、このミッションはどうする?」と問うと、意外にも「私たちがやらなきゃっていうかね、他の人がこのミッションをやるのが気に入らない」という返事だった。「数年後にこのスナキツネ(子)も討伐対象になることが考えられるけど、どう思う?」「私たちはミッションをこなすのみ!それに数年後までA級のつもりはない。S級になる」 “私たち”ねぇ。数年後も俺と組んでるんだな。ほぉーお。「で、スナキツネって弱点とかあるの?」「んー、最近発見されたからねー。よくわかんないんだよ」 それ、討伐しちゃう?益になるかもしれないじゃん。「まぁ、俺には弱点とかなくてもイケると思うけど」「同感」「討伐しちゃってもいいもんかねー?」「ふえ?私なら気にしないでよ~」「カナエを気にしてじゃなくて、最近発見だろ?益とも害ともわからないのに、討伐っておかしくねー?」「そうなんだよね」「依頼主は……」 俺とカナエはカードに送られて来ているミッションの山からこのミッションを探し出し、依頼主を見た。そして同時に声を出した。「あの馬鹿王か……」俺たちは頭を抱えた。 確かに金払いはいいが、このミッションには裏がある。 これもノコノコとスナキツネの所に行った俺らがやられるってのが王のシナリオなんだろうな……。 しっかし馬鹿王、俺ら
ステータスがカードで表示される。ライガ age18 HP 計測不能 体力 計測不能 戦士 MP 0 知力 3 戦士に珍しくオールラウンダーカナエ age18 HP 1503 体力 5 魔法使い MP 25033 知力 10 魔法使いらしく後方支援を得意とする「なぁ、カナエ。計測不能ってなんだ?体力とか知力とか……」 つまり、俺はこのカードの見方がわからない。「うわ、ダサっ。計測不能ってそのままでしょ?少ないってことはないから多すぎて計測できないんでしょ。知力と体力は10段階評価なんだけどなー」「カナエー、治癒魔法もマスターしてよー。ケガ治してくれよ」「そうだねー、戦闘すぐ終わるもんね。ってライガ、怪我するの?」「敵が毒吐くかもだぜ?」「あぁ、そう考えると必要かも。少ない知力で考えてくれたんだもんねぇ」 と俺のカードを見た。「カナエはHP低いし体力ないだろ。HPなんて壊滅的だ」「おっしゃる通り。でも魔法使いにはステータスをアップさせることができるのです。ま、せいぜい2倍だけどね。だから戦闘頑張ってー」 のん気だな。つまり俺はカナエを守りつつ戦うという事か。それもハンデかな? やっぱ徒歩で進むんだろうなぁ。と俺はてくてく歩いていた。ふと横を見ると、カナエ!浮いてる板に座ってる。しかもお茶飲んでねー?「カナエ……そうやって歩かないから体力はつかないし、HPは低いんだ。MPの無駄遣いだ。さぁ、歩け!」と俺は歩くように促した。 30分も歩かないうちにカナエの口から「疲れた~」と。なんだよ、マジで弱いな体力など。 そんな時……モンスターが現れた。「カナエ、こいつらマジでモンスターか?またヒトが化けてたりしない?それによって全力で行くか決まるんだけど?」 ああ、そういう判断でも魔法使い必要だな。殺人は嫌だ。「純モンスターでーす!」という声を聞いてつい俺は「初めまして」と言ってしまった。 カナエは呆れていたが、次の瞬間しばいたのでOK。 なんだかモンスターを倒すと、道具と金が落ちてる……。 俺は恐る恐る「カナエ、この落ちてるのはもらっていいのか?窃盗罪とか嫌だぞ」と言うと、「本当に何にも知らないのねー。ドロップアイテム拾ってよし。強いモンスターはいいもの持
「よくぞ戻った。ライガ、カナエ」と王に言われた。 人を殺そうとしてノウノウとしてるよ……と怒りが湧いてくる。「して、この男がお前たちを騙していたという話だな」いや、王が騙していたんだけど。「この男を牢へ!」トカゲの尻尾切りか……。「ライガとカナエは王直属の騎士団に入団してもらいたい」「恐れながら、家族と相談したいと思います。カナエもいいな」 そう言いその場は帰った。 俺は正直自分を殺そうとした人を守るような職業に就くのは嫌だった。もしや、うちの親父も同じでは?カナエには申し訳ないなぁ。 俺は家に帰って、親に全部伝えた。「はぁ、あの王はまたやったのか……」と親父。 やはり親父も同じ目に遭っているようだ。その時一緒だったのがおふくろらしい。「賛成はしない」とうちは両親とも反対。「でもさー、王に背くとうちに迷惑かからねー?」「何を今更。弱っちい騎士団を抱えた王が。そんな騎士団に入ってもいいことないぞ」 それは思う。しっかし言うなー、親父。 そういう事で、俺は王の提案に背くことにした。カナエはどうするのか?「カナエも巻き込んだんだけど?」「それはカナエちゃんの家が決める事だろ」 カナエの家にてカナエも全てを家族に言った。「何だと?王直属の騎士団はすごいが、それとこれとは話が別だ!ケルベロスに姿を変えてたやつを鉄拳でミンチにしてしまいたい」とカナエ父。「実際にヒトだとわかると懐かれるの気持ち悪かったなぁ」とカナエが言うと、カナエ父は怒り心頭「いくら王と言えども許されない」 カナエの家でも反対のようだ。「家が蔑まれると思うけど、いいの?」とカナエは心配するが、カナエ父の怒りの前ではどこ吹く風のようだ。 次の日二人は王の間に行った。 王の間に入る前にカナエに伝えておいた。「俺らが反対って言った後、俺らに向けて王直属の騎士団が仕掛けてくる可能性もあるから、戦う心の準備は常にしといて」と。 王は「さて、ライガとカナエ。王直属の騎士団に入る話を家族としてきたのかな?」 入るかどうかの相談だ。入る事が前提みたいに言うな。「恐れながら、私もカナエも王直属の騎士団には入りません」 あぁ、期待を裏切らないな……。続々と王直属の騎士団が湧いてくる。こんなにいるなら俺もカナエも必要ないじゃん。 そんじゃ「カナエ、後方支援頼むわー」と言いな
そんなある日、俺・ライガとその幼馴染・カナエが王に呼ばれた。「何したの?」とカナエに言われたが、それはこっちの台詞。俺は規則正しく生活し、日々鍛錬しているだけだ。 端的に言うと、迷いケルベロス(子供)を親元に帰してほしい。という話だった。全くそんなのは王直属の騎士団(魔法使いばかり)から2名選べばいいのに。親元に戻してソッコー俺を抹殺する気じゃ?と邪推してしまう。 それはそうと、久しぶりに生でカナエを見た。 何だよ反則じゃねー?女くさい体形になってる。女だが。出るとこ出てるし。だいたい魔法使いの服って露出度高くないか?誰のシュミなんだよ? と俺は煩悩にまみれた己を呪った。~Side カナエ 私はそんなに魔力強くないのに、何でライガと呼び出されたんだろう? そう!ライガ久しぶりに生で見た。何なの男くさくなって、男だけど。肩幅広いし、胸板厚いし、背は伸びてるし、腹筋割れてる? 戦士の正装って鎧なの? ってか2人で旅って大丈夫なの?……私。 そんな俺らをよそにケルベロス(子供)と対面した。「かわいいーっ」とカナエはケルベロスにくっついた。そして噛まれていた。そうだよな、頭3つあるもんな。 とりあえずこの2人(?)は仲良くなったんじゃないか? さて、俺とケルベロスの相性は……3頭揃って唸られた。うむ、まぁいいさ。「旅立つがよい」と王が言う。言うのは楽だよなぁ。 と、俺とカナエ+ケルベロスは城下町から外へ出た。 ケルベロスに街の人が驚くという理由で城から街中は馬車で移動。馬車の中もケルベロスはカナエにベッタリ。やや俺にドヤ顔なのが腹立たしい。 俺はこの時点から何だか違和感を感じていた。俺にはできないが、カナエなら……。カナエに話したいが、ケルベロスがくっついてるなぁ。どうしたらいいものか。 あ、タイミングよくカナエ一人と思ってもどこからかケルベロスが現れる。そうだ、手紙にしよう。カナエだけが見るように、ケルベロスは見ないように。~To カナエ あのケルベロスをまず魔法で透視してみてくれないか?俺にはどうもあのケルベロスがヒトのような気がする。俺にはできない。 透視の結果次第では、俺も本気であの魔物をしばく事になるから、連絡をくれ。 と、手紙でカナエに渡した。 ヒトならセクハラだよな……。始終べったりって。ちゃんとカナエだけが
ここサタハユは言わずと知れた魔法都市。街に出て周りを見渡せば魔法だらけ。 なのにうちは先祖代々戦士の家系。俺は武術を物心ついたころからずっとしている。が、この街で我が家はごくつぶしのような(税金はちゃんと払ってマス)扱い。 戦士は近接、魔法使いは後方支援という思想も古臭く、近接でも戦士要らずで戦えるような魔法が開発されて久しい。 よって“戦士は要らない”というのが常識だ。 まぁ、俺の母親は魔法使いだから、俺はハーフなわけだが……。「ライガ、ごはんよ」 うーん、俺の飯は親父に出す飯の練習か?失敗作の感じがする。何故なら至るところに炭が……。「火加減がねー。ほら、お母さん火の魔法苦手だから」 昔、文献で見た。そして、実践した。野宿で魔法を使わずに火をおこし、料理を俺がした方がうまくできそうだ。苦手だからと炭が許されるわけではない。「水の魔法は得意だから、素材が上手に切れているでしょ?」 そう言われても……、俺ならナイフでスパっと切れるからなぁ。「じゃ、親父にうまく料理してやれよ」と俺は言い残し(食べ残しもした)、夕食後の鍛錬を庭でしていた。 しかし、魔法というのは厄介だ。 庭で鍛錬していたのを庭の塀を透かして俺が戦士の鍛錬をしているのを見たようだ。全裸じゃなくてよかったな。俺が全裸で鍛錬していたらどうするつもりだったのだろうか? “のぞき”って犯罪にできるな。あ、対策してるか。普通の家は。うちは別に恥ずべきことをしているわけではないから庭が見えてもいーよーってうちの親父がなにも対策してないんだったな。 ただし、トラップの数は多いから不審者が入ってくるのはまず無理だろうなぁ。“戦士”がバカにされている現実に親父がムキになってトラップ作ったからなぁ。 俺が鍛錬していると、壁の向こうから幼馴染のカナエが声をかけてきた。「ねー、そっちに行きたいんだけどさぁ。おじさん、めっちゃトラップ仕掛けまくってていけないよ」「魔法使いならなんとかすれば?」と俺は嘲笑交じりに言った。「なんとかなるならライガの家、不審者だらけでしょ?」 その不審者は俺又は俺の親父にのされる。でもトラップだらけをかいくぐったから相当の強者か。それならそれで、単純に手合わせをしたいもんだ。俺はしたいが、親父がのしてしまうだろう。可哀そうに。ラストトラップは親父かなぁ?「